日々の暮らしの中で無理なくオンライン時間を減らす具体的なステップ
多くの方が、日々の生活の中でオンラインを利用する時間が予想以上に長くなってしまい、他の大切な活動に充てる時間がなくなっていると感じているかもしれません。オンラインでの情報収集や交流、エンターテイメントは現代社会において重要な役割を果たしますが、それが過度になると、家事や育児、仕事、そして自分自身の心身のケアに影響を与える可能性も考えられます。
しかし、「オンライン時間を減らしましょう」と言われても、具体的にどのように生活に取り入れれば良いのか、特別な時間を作るのは難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。この記事では、そういったお悩みを持つ方のために、日々の暮らしの中で無理なく、自然な形でオンライン時間を減らし、より充実した時間を取り戻すための具体的なステップをご紹介します。
なぜ「日々の暮らし」に焦点を当てる必要があるのか
オンライン利用の見直しに取り組む際、特別な「デジタルデトックス期間」を設けたり、一気にオンラインから距離を置こうとしたりする方法もあります。しかし、これは一時的な効果に留まることが多く、元の習慣に戻りやすいという側面があります。
オンライン利用は、多くの場合、私たちの生活の中に深く根差した「習慣」となっています。通勤時間、家事の合間、休憩中、そして夜寝る前など、無意識のうちにスマートフォンやPCに手が伸びていることは珍しくありません。このような習慣を見直すためには、特別な行動だけでなく、普段の生活の流れの中に小さな変化を取り入れ、それを継続可能な新しい習慣として定着させていくアプローチが効果的です。
ステップ1:現在のオンライン利用習慣を「小さく」意識する
まずは、ご自身のオンライン利用について、過度に厳しく評価するのではなく、「今はこのような状態なのだな」と客観的に、そして小さく意識することから始めてみましょう。
- 利用する場所を意識する: 自宅のどの部屋で、通勤中はどこで、といった利用する場所を少し意識してみてください。
- 利用するタイミングを意識する: 朝起きてすぐ、食事中、家事の合間、寝る前など、どのタイミングでオンラインにアクセスしているかを少し意識してみてください。
- 何のために利用しているかを意識する: 情報収集、連絡、気分転換、ゲーム、SNSなど、その時々でオンラインにアクセスする目的を少し意識してみてください。
最初は記録をつけたりする必要はありません。ただ、いつもの行動の中で「あ、今、スマホに手を取られたな」「ここでSNSを開いているな」と、その瞬間に気づく練習をします。この小さな気づきが、次のステップにつながる大切な一歩となります。
ステップ2:いつもの行動に「オンライン以外の時間」を紐づける
オンライン利用は、特定の行動や感情に紐づいていることが多いものです。「電車に乗ったらスマホを見る」「家事が一段落したらSNSをチェックする」といった習慣です。この紐づけを少し変えてみましょう。
オンラインにアクセスしていた特定のタイミングで、意識的に別の行動を挟み込んでみます。
- 「電車に乗ったら、まず窓の外の景色を眺める時間を作る」
- 「家事が一段落したら、まずお茶を淹れる、またはストレッチを5分だけ行う」
- 「食事の前に、まず今日の献立について考える時間を持つ」
- 「寝る前にスマホを見る前に、まず今日の出来事を短い言葉で3つ思い出す」
このように、普段の生活の中で無意識にオンラインにアクセスしていたタイミングに、意図的に別の行動を組み込むことで、脳の習慣パターンに小さな変化を与えることができます。この新しい行動は、短時間で完了する、負担にならないものであることが継続の鍵です。
ステップ3:日常の「隙間時間」の過ごし方を見直す
ちょっとした待ち時間や移動時間、短い休憩時間などは、無意識にスマートフォンを開きやすい時間です。これらの隙間時間の使い方を少し見直すことで、オンライン時間を減らすことができます。
- 移動中: 音楽やオーディオブックを聴く、車窓からの景色を楽しむ、軽いストレッチや深呼吸をする。
- 待ち時間: カバンに入れておいた小さな本や雑誌を読む、周囲の人や物の観察をする、今日のタスクを頭の中で整理する。
- 短い休憩: 窓を開けて外の空気を吸う、簡単なストレッチをする、目を休ませる、短い瞑想をする。
これらの行動は、オンライン利用とは異なり、心身のリフレッシュにつながったり、現実世界への意識を向けたりする効果が期待できます。無理に全ての隙間時間を変えようとせず、まずは一日のうちで最もオンラインに手が伸びやすいと感じる隙間時間を一つ選び、そこから試してみるのがおすすめです。
ステップ4:生活環境を「オンライン以外の活動」に向けに整える
私たちの行動は、周囲の環境に大きく影響されます。オンライン利用を減らし、他の活動に時間を充てやすくするために、物理的な環境を少し整えてみましょう。
- オンライン機器を「すぐに手に取れない場所」に置く: 食卓やソファなど、普段オンラインを利用する場所から少し離れた場所にスマートフォンを置く習慣をつけてみます。
- 「オンライン以外の活動」のためのものを準備しておく: 例えば、読書時間を増やしたいなら、読みかけの本を手に取りやすい場所に置いておく。手芸や趣味の時間を増やしたいなら、道具をすぐに使える状態にしておく。
- 通知設定を見直す: 必要性の低いアプリの通知をオフにすることで、オンラインへのアクセスを促す「きっかけ」を減らすことができます。
- 「オンライン利用しない場所」「オンライン利用しない時間」を決める: 例えば、「寝室にはスマホを持ち込まない」「食事中はスマホを見ない」といったシンプルなルールを設けることも有効です。
これらの環境調整は、オンラインへの無意識のアクセスを防ぎ、「さあ、何をしようかな」と思ったときに、オンライン以外の選択肢が自然と目に入るようにサポートします。
ステップ5:できたこと、感じたことを「無理なく」振り返る
これらのステップを試してみて、すぐに大きな変化が現れなくても心配いりません。大切なのは、完璧を目指すことではなく、少しずつでも意識して行動してみた、その「できたこと」に目を向けることです。
- 「今日は食事中にスマホを見なかった」
- 「電車の待ち時間に空を眺めてみた」
- 「帰宅後すぐにスマホをチェックせず、まず手洗いうがいをした」
こうした小さな成功体験を自分で認め、「よくやったな」と自分に優しい言葉をかけてみてください。できなかったことや、ついオンラインを利用してしまった時に、ご自身を責める必要はありません。「次はこうしてみようかな」と、前向きに次の機会に活かす視点を持つことが、継続につながります。
また、オンライン以外の活動に時間を使った時に、どのようなことを感じたか、どのような気づきがあったかを意識してみるのも良いでしょう。例えば、「お茶を淹れる時間で、なんだか心が落ち着いた」「外の景色を眺めたら、気分転換になった」といった小さなポジティブな感覚は、新しい習慣を継続するモチベーションになります。
継続へのヒント
日々の生活の中でオンライン時間を減らし、他の活動を増やす取り組みは、焦らず、ご自身のペースで行うことが大切です。体調や心の状態は日々変化します。疲れている時や気が乗らない時に無理をすると、かえってストレスになってしまう可能性もあります。
「今日は少し疲れているから、できる範囲でやってみよう」「今日は難しかったけれど、明日はまた少し意識してみよう」と、柔軟な姿勢で取り組んでください。そして、オンライン以外の活動に時間を使えた自分自身を、ぜひ褒めてあげてください。
オンライン利用の見直しは、日々の小さな意識と行動の積み重ねです。特別な時間や努力を必要とせず、いつもの生活の中に無理なく組み込むことから始めてみましょう。そうすることで、オンラインと現実世界のバランスが少しずつ整い、よりご自身にとって心地よい、充実した日々につながっていくことでしょう。