オンライン時間を減らす:生活環境を整える具体的なステップ
オンラインでの活動は私たちの生活に多くの利便性や楽しみをもたらしてくれますが、気づけば利用時間が膨らみ、他の大切なことがおろそかになってしまうこともあるかもしれません。このような状況に直面し、「なんとかしたい」と感じていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
オンライン利用の習慣を見直すためには、意志の力だけに頼るのではなく、私たちの行動に大きな影響を与える「環境」に目を向けることが有効なアプローチの一つです。身の回りの物理的な空間やデジタル環境を少し整えるだけで、無意識のうちにオンラインに手を伸ばしてしまう機会を減らすことができる可能性があります。
この記事では、オンライン時間を減らすために、生活環境を整える具体的なステップをご紹介します。
なぜ環境を整えることが有効なのでしょうか
私たちは日々の多くの行動を無意識のうちに行っています。例えば、スマートフォンが目の前にあれば、特に目的がなくても手に取り、SNSやニュースフィードを眺めてしまうことがあるかもしれません。これは、私たちの行動が「環境からの刺激」によって促されているためです。
オンライン利用に関しても同様で、デバイスが常に身近にあったり、通知が頻繁に届いたりする環境では、「ちょっとだけ」のつもりが長時間利用につながりやすくなります。反対に、デバイスにアクセスしにくい環境を作ったり、無関係な刺激を減らしたりすることで、衝動的な利用を抑え、オンラインから意識をそらすことが容易になります。
環境整備は、自身のオンライン利用の習慣を変えるための、比較的取り組みやすい第一歩となるでしょう。
物理的な環境を整える具体的なステップ
まずは、私たちの物理的な生活空間から見直してみましょう。
ステップ1:デバイスの「定位置」を見直す
スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、オンラインにアクセスするためのデバイスの置き場所を意識的に変えてみます。
- 寝室に持ち込まない: 寝る前に無意識に触ってしまい、睡眠時間を削る原因になることがあります。寝室ではなく、リビングや書斎など、目的なくベッドで触らない場所に置きましょう。
- 手の届きにくい場所に置く: 例えば、リビングの中でもソファーのすぐ横ではなく、少し離れた棚の上や引き出しの中など、立ち上がらないと取れない場所に置く習慣をつけてみます。
- 充電場所を変える: 充電は寝室ではなく、家族が集まる場所や共有スペースで行うようにします。これにより、充電中を含め、デバイスを無意識に手に取る機会を減らすことができます。
ステップ2:視覚的な刺激を減らす
デバイスが視界に入ると、それだけで触りたい衝動が湧きやすくなります。
- 引き出しや箱にしまう: 使用しない時間帯は、デバイスを見えない場所に保管します。
- 裏返して置く: 画面が見えないように裏返しておくだけでも、視覚的な誘惑を減らす効果が期待できます。
ステップ3:特定の時間帯はデバイスから離れる工夫をする
- 食事中はテーブルに置かない: 家族との会話や食事そのものに集中できるよう、テーブルにはデバイスを持ち込まないルールを設けてみましょう。
- タイマーなどを活用する: 「この時間帯はオンラインから離れる」と決めたら、キッチンタイマーなどを活用して物理的に時間を区切り、その間はデバイスに触らないようにします。
デジタルな環境を整える具体的なステップ
次に、デバイスの中、つまりデジタルな環境を整えてみましょう。
ステップ1:通知設定を見直す
通知は、オンラインへの注意を向けさせる最大の要因の一つです。
- 本当に必要な通知だけをオンにする: アプリごとに通知設定を確認し、仕事や緊急連絡など、どうしても必要なもの以外の通知はオフにします。特にSNSやゲームの通知は、利用時間を増やす大きな要因となり得ます。
- 特定の時間帯は「おやすみモード」を活用する: デバイスの機能にある「おやすみモード」や「集中モード」などを活用し、特定の時間(例: 夕食後から寝るまで、家族との時間など)は通知が届かないように設定します。
ステップ2:ホーム画面を整理する
デバイスを開いたときに、無意識に開いてしまうアプリを視界から遠ざけます。
- よく使うアプリ以外はフォルダにまとめる: 利用頻度の低いアプリや、つい長時間見てしまうアプリは、フォルダにまとめてホーム画面の目立たない場所に移動させます。
- ホーム画面には必要最低限のアプリだけを置く: 電話、メール、カレンダーなど、日常的に必ず使うアプリだけをホーム画面に表示し、他のアプリはドロワー(アプリ一覧画面)から起動するようにするのも良い方法です。
ステップ3:利用を控えたいアプリへのアクセスを制限する
- 利用時間制限機能を活用する: スマートフォンやタブレットのOSに搭載されている利用時間制限機能や、専用のアプリを活用し、特定のアプリやカテゴリの利用時間に上限を設定します。
- 一時的にアプリをアンインストールする: どうしても利用を制限できない場合は、一時的にデバイスからアプリを削除してみるのも有効です。利用したいときに再インストールする手間が、衝動的な利用の抑止につながることがあります。
- ログアウトしておく: SNSなど、ログインが必要なサービスからは、利用を終えるたびにログアウトしておくことで、次に利用する際の手間が増え、利用開始へのハードルを少し上げることができます。
環境整備と合わせて取り組みたいこと
環境を整えることは非常に効果的ですが、これだけで全てが解決するわけではありません。環境整備と合わせて、以下の点も意識してみると良いでしょう。
- オンライン利用時間の記録: 実際にどれくらいの時間、何にオンラインを使っているかを記録することで、自身の現状を客観的に把握できます。環境整備の効果を確認する上でも役立ちます。
- オンライン以外の活動の計画: オンラインに費やしていた時間を、別の何に使うかを具体的に計画します。趣味、運動、家族との時間など、現実世界での活動を意図的に増やすことが大切です。
- オンラインを利用する目的を明確にする: 何となくオンラインに触れるのではなく、「〜の情報収集をする」「〜さんと連絡を取る」など、目的を持って利用することを心がけます。目的を終えたら利用を切り上げるように意識します。
継続のためのヒント
環境整備は一度行えば終わり、というものではありません。生活の変化に合わせて見直したり、最初はうまくいかなくても根気強く続けてみたりすることが大切です。
- 完璧を目指さない: 最初から全てを理想通りにできるわけではありません。一つずつ、できることから試してみましょう。
- 小さく始める: いきなり全ての環境を変えるのではなく、「寝室にはスマホを持ち込まない」など、小さなルールから始めて成功体験を積み重ねることが、モチベーションの維持につながります。
- 失敗しても自分を責めすぎない: うまくいかない日があっても、「やっぱり自分はダメだ」と自己嫌悪に陥る必要はありません。「今日は難しかったけれど、明日はまた試してみよう」と、前向きな気持ちで立て直すことが大切です。環境整備はその手助けをしてくれるものです。
まとめ
オンライン利用の習慣を見直したいと感じているのであれば、まずは身の回りの環境を整えることから始めてみてはいかがでしょうか。物理的なデバイスの置き場所を変えたり、デジタルな通知設定を見直したりといった具体的なステップは、無意識のオンライン利用を減らし、大切なことに時間を使う手助けとなるでしょう。
環境整備は強力なサポートツールですが、ご自身のペースで、できることから楽しみながら取り組むことが継続の鍵となります。この記事でご紹介したステップが、あなたのオンラインとの健全な付き合い方を築くための一助となれば幸いです。