「またやってしまった」から抜け出す:自己肯定感を保ちながら取り組むオンライン利用の見直し
オンラインの世界は私たちの生活に豊かさや便利さをもたらしてくれます。しかし、時にはその利用がコントロールできなくなり、「また長時間使ってしまった」「やるべきことができなかった」と後で後悔し、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。このような自己嫌悪の感情は、オンライン利用を見直そうとする意欲を削ぎ、さらなる悪循環を生む可能性も考えられます。
この記事では、オンライン利用の習慣を見直したいと考えている方が、自己肯定感を保ちながら、自分を責めずに前向きに取り組むための考え方と具体的なステップをご紹介します。
オンライン利用と自己肯定感の関係:なぜ自分を責めてしまうのか
オンラインゲームやSNSへの過度な没頭によって、家事や仕事、育児など、現実世界での責任がおろそかになることがあります。このような状況に直面すると、「自分はダメな人間だ」「意志が弱い」などと自身を強く非難する気持ちが芽生えやすいものです。これは、オンライン利用によって「本来の自分」や「理想とする自分」からかけ離れてしまったと感じる落差から生じる可能性があります。
また、オンライン上での他者との比較や、達成感を得やすい設計も、現実世界での困難や不満から逃避する理由となり得ます。そして、その逃避の結果として現実世界での問題が積み重なることで、さらに自己肯定感が低下するというサイクルに陥ることが考えられます。
自分を責める行為は、一時的には「もうやめよう」という決意につながるように感じられるかもしれませんが、長期的には自信を失わせ、行動するエネルギーを奪い、問題解決から遠ざけてしまう場合があります。
自分を責めずにオンライン利用を見直すための考え方
克服への道のりは、自分を「矯正」するのではなく、「理解」し「サポート」することから始まります。自分を責めずに取り組むために、いくつかの考え方の転換を試みてみましょう。
- 問題行動と自分自身を切り離して考える: 長時間オンラインを利用してしまう行動は、あくまで特定の状況や心理状態における「行動」であり、あなたという人間性そのものを否定するものではありません。問題は行動パターンにあるのであって、あなた自身が「ダメ」なのではない、と意識してみてください。
- 完璧を目指さない: 急にゼロにするのは現実的ではないかもしれません。小さなステップで、少しずつ利用時間や方法を見直していくことを目標にしましょう。完璧にできなかった日があっても、それは失敗ではなく、調整が必要な学びの機会と捉えることができます。
- 「〜すべき」を緩める: 「〜すべきだったのに、できなかった」という考えは、自己否定につながりやすいものです。「今日は〜を試してみよう」「〜ができたら良いな」というように、目標を柔軟に、肯定的な言葉で設定し直すことがおすすめです。
- 自分自身の努力を認める: オンライン利用を見直そうと考え、この記事を読んでいること自体が大きな一歩です。小さな努力や変化も見逃さずに、自分で自分を褒めてあげることが大切です。
自己肯定感を育みながらオンライン利用を見直す具体的なステップ
ここからは、自己肯定感を高めながら、具体的な行動を通じてオンライン利用を見直すためのステップをご紹介します。
ステップ1:現状を「非難」ではなく「観察」する
まずは、現在のオンライン利用状況を冷静に把握することから始めます。特定のアプリやゲームにどのくらいの時間を費やしているのか、どのような状況や感情の時に利用したくなるのかなどを記録してみるのがおすすめです。
- 具体的な方法:
- スマートフォンのスクリーンタイム機能や時間記録アプリを活用する。
- 簡単なノートや日記に、利用時間、その時の気持ち、利用した内容を書き出す。
この時、「なんて無駄な時間だ」と非難するのではなく、「今日は合計〇時間利用した」「〇〇な時(例:家事が一段落した時、少し疲れた時)に△△(例:SNS、ゲーム)を開いた」のように、事実を淡々と記録する姿勢が大切です。観察することで、自身の行動パターンやトリガーを客観的に理解できるようになります。
ステップ2:小さな「できた」を見つける習慣をつける
自己肯定感は、大きな成功だけでなく、日々の小さな達成感の積み重ねによっても育まれます。オンライン利用を見直す過程で、意識的に「できたこと」に焦点を当てるようにしましょう。
- 具体的な方法:
- 今日の「できたこと」リスト: 一日の終わりに、その日できたこと(たとえ小さなことでも良い)を3つほど書き出してみる。「いつもより早く起きられた」「洗濯物を畳んだ」「オンライン利用を〇分減らせた」「利用衝動を〇分我慢できた」など。
- 肯定的な言葉を使う: 自分自身や自分の行動を評価する際に、否定的な言葉を肯定的な言葉に置き換えるよう意識する。「今日は〇〇できなかった」ではなく、「今日は〇〇を試みた」「次回は〇〇してみよう」など。
ステップ3:自己肯定感を育むための心のケアを取り入れる
オンライン利用の時間以外で、意図的に自己肯定感を高めるための習慣を取り入れることも有効です。
- 具体的な方法:
- ポジティブなアファメーション: 自分自身に向けた肯定的な言葉を繰り返し唱える、書き出す。「私はできる」「私は価値のある存在だ」「私は少しずつ変わっている」など。
- 感謝の習慣: 日常の中にある感謝できること(自分自身のこと、周囲のこと、出来事など)を見つけて意識する。感謝を書き出すこともおすすめです。
- 休息とリラックス: 十分な睡眠をとる、好きな音楽を聴く、軽い運動をするなど、心身がリラックスできる時間を持つことも、心のエネルギーを回復させ、自己肯定感を支える上で重要です。
ステップ4:目標を小さく設定し、達成感を積み重ねる
急激な変化はリバウンドしやすいだけでなく、「できなかった」という自己否定感につながりやすいものです。まずは達成可能な小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねていくことが、自信を持って次の一歩に進む力になります。
- 具体的な方法:
- 「オンラインゲームを全くやらない」ではなく、「平日の夜は〇時以降はゲームをしない」のように具体的な時間や場面で区切る。
- 「SNSを見る時間を1時間減らす」ではなく、「最初の5分だけ見て閉じる練習をする」のように、行動の質や回数に焦点を当てる。
- 目標を達成できたら、自分で自分を褒める、小さなご褒美を用意するなど、肯定的なフィードバックを与える。
これらのステップは、完璧にこなすことよりも、まずは試してみること、そして継続することに意味があります。うまくいかない日があっても、それは自然なことと受け止め、また次の日から再開すれば良いのです。
困った時は誰かに相談することも選択肢に
一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人、パートナーに相談することも考えてみてください。話をすることで気持ちが整理されたり、客観的な視点を得られたりすることがあります。また、オンライン依存の専門機関やカウンセリングを利用することも有効な選択肢の一つです。専門家は、あなたの状況を理解し、適切なサポートや具体的なアドバイスを提供してくれます。
まとめ
オンライン利用を見直す過程で自己嫌悪を感じることは、決して珍しいことではありません。「またやってしまった」と自分を責める気持ちに囚われそうな時は、ご自身の努力や小さな変化に目を向け、肯定的な言葉を自分自身にかけてあげてください。
完璧を目指すのではなく、まずは現状を客観的に観察し、自己肯定感を育むための習慣を取り入れながら、達成可能な小さな目標から取り組み始めることが大切です。自分自身を責めるのではなく、優しく、根気強く向き合っていく姿勢が、オンライン利用との健全な関係を築き、より豊かな現実世界を取り戻す力となるでしょう。この記事が、あなたのオンライン利用の見直しに向けた一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。